タイ留学体験記青山学院大学 地球社会共生学部

私のペース、タイ

私の両親もAFSで留学し、そこで二人は出会ったんです。母はニュージーランドに留学して、母のホストマザーを私はNZのおばあちゃんと呼んでいます。

幼い頃NZのおばあちゃんが私の家に遊びに来て、「かわいそうな子ね」と片言で私に言いました。本当は「かわいい子ね」と言いたかったようで、おばあちゃんが一生懸命覚えてきたつもりだった日本語は全然違う意味だったことを、今でも笑い話として覚えています。

NZのおばあちゃんの家には大学生になった今もたまに遊びに行きます。母のホストマザーが私のグランドマザーになるような、そんなAFSの留学体験に、私は幼少期から憧れていました。

私は元々東南アジア諸国に興味があってタイを選びましたが、タイの一年間は私に「私の時間を大切にする」ということを教えてくれました。

タイの人たちってすぐ遅刻するんです(笑)でも、遅刻する側も、される側も全然何も言わないし、怒らないんです。

ある時私はタイの友達になぜ遅刻されても怒らないのか聞いてみると、「急ぎ過ぎても危ないし、私のペースと相手のペースは違うからかね~」と。遅刻するという“悪いこと”が思いやりの関係性に見えた時、私はこんなにも日本の文化と違うんだって、驚きました。日本にいた時の私は相手のペースに合わせている私なんだと気づいたんです。

「本当の私のペースってなんだろう?」

って、それからの私はタイの留学中の私のペースを真剣に考えて過ごしました。空き時間に英語の勉強をしてタイで受けたTOEICは今でも私の過去最高得点だし、マッサージ師の資格もタイで取りました。


私はタイのバンコクに滞在していましたが、1週間ほどタイ東部のサラブリー県に滞在する機会がありました。ちょうどその時期は年に1回あるかないかのとても寒い時期で、エアコンもなければ、ダウンジャケットや毛布もなく、私は風邪で寝込んでしまいました。熱を出しながら

「寒さをしのげる当たり前なことが実は恵まれている幸せなのかな」って思いました。

今私は大学で本当の平和とか共存ってなんなのかを研究しています。そういう体験が今の私の居心地のよいペースづくりや研究テーマにも影響しているんだと思います。