アメリカの”弟たち”
小学校から高校までずっと一貫校に通っていた僕は“知らない人”が学校にほぼいないぐらい、誰とでも仲良くできてコミュニケーション能力が高い方だと思っていました。
でも留学してみたら、自分がそのホストスクールの“知らない人”になって、初めて
「自分は井の中の蛙だったんだ!」と知りました。
僕は幼い頃からディズニー映画やハイスクールミュージカルが好きで、アメリカの生活は日本よりずっと華やかなんだろうと想像していたのですが、いざ留学していみると、配属先のアイオワ州のアーバンデールの地味さにショックを受けました。
学校から車で20分程のところにショッピングモールが1件あるだけで、実家の周りの方がよっぽど交通機関は整備されているし、遊び場も豊富でした。
でも、僕のホストファミリーの裏庭には大きな池があって、冬は家族でスケートリンクを作り、一緒に滑ったり、雪の積もる庭の向こうの丘でそり滑りをして遊びました。
ホームステイ先の3才と5才のホストブラザー、ジェイスとトレーは到着早々、僕を一日中遊びに付き合わし、寝る時間になっても遊び足らず、ぐずってしまうぐらい、二人は僕にすぐ懐いてくれました。
僕が外国人で、英語がまだそこまで話せないことを二人は全然気にせずに接してくれたことを、今はとても感謝しています。
家の地下には二人の遊び場があって、いつも一緒に遊んでいたのですが、
ある日ホッケーのスティックを振り回して遊び暴れていたジェイスが壁に大きな穴をあけてしまいました。
これは親にひどく怒られる。
そう思ったジェイスは僕のところへ近寄ってきて
「どうしよう」と涙目で言いました。
僕らがホストペアレンツのところへ一緒に謝りに行った時、僕は二人の本当のお兄ちゃんになった気がしました。
最後の日、他のAFSの留学生のいるお別れの場で、
ジェイスとトレーは大泣きして、別れを悲しんでくれました。でもあまりに泣き叫ぶものだから、
「おいおい、恥ずかしいからやめてくれよ」と、
あの日を思い出すと今も少し照れ臭いです。