インド留学体験記進学先:大阪大学 人間科学部

未知なる異文化を経験して

どんな生活か全く想像できないところへ、

よく知らない未知の国、インドに留学してみたい


そう思って、高校のインド出身の英語の先生に話を聞いたり、AFSでインド留学生のホストファミリーをしたり、知れば知るほどインドへの興味が湧いてきて自分はAFSの試験ではインド一本で出願しました。


自分の滞在形態は変わっていて、高校の寮長をしている家族の元に配属されました。普段の生活は寮生とともに過ごしてたいので、ホストファミリーと食卓を囲むより寮生と共に食事をとることの方がとても多かったです。だから本当に想像しなかった留学生活がスタートしました。


寮長をしているホストファザーとは家族観の相違からすれ違うことも多く、自分はインドの教育を過保護に感じていました。成人していても未婚者はまだ子供で「親の言うことを聞くべき」といったような考え方は日本の放任主義的な家庭で育った自分にはとてもストレスでした。自分は寮で生活していたこともあり、友達は比較的できやすかったです。それに希望制の修学旅行のようなものにも積極的に参加して仲良しも増えました。


でも、自分にとってインド人の多くはステレオタイプで、様々な面で自分とは根本的な価値観が違い、どうしても受け入れられない部分が多く親友と呼べるほどの友達はすぐにはできませんでした。そんなある日、クラスの女子二人が「実はずっと仲良くなりたかったけど、宙斗の周りに人が多くて話しかけれなかった」



と言ってくれて、そこからその二人とはよく話すようになりました。


彼女たちは「私らはインド人らしくないよ」というほどインド独特なステレオタイプの考え方がなく、ホストファミリーとのすれ違いや、他の生徒との関わり方で悩んでいること、たくさん打ち明けて話すことが出来て、いつの間にか二人とは親友になっていました。

でも、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行した2020年3月。予定よりも1カ月早いお別れで二人からはメッセージ付きのアルバムを手渡されました。

帰りの飛行機でそれを読んで大号泣したのを今でも覚えています。


質と量でインド留学を振り返ってみると、量的には辛いことの方が多かったです。食事が合わない、衛生状況にすぐ適応できない、心まで許せる友達ができない、それでも「自分で考える力」は身に付いたと思います。

「なぜこのインド文化に居心地の悪さを感じるのか?」


自分なりにインドの習慣や状況を生み出している原因を日本とインド両方の文化が分かってきたから照らし合わせて考えることができる。

「訳が分からない」から段々と明瞭になる感じ。

それを自分の中で受け入れてあげる。住み慣れた日本、居心地のいい日本だけで生活していたら、きっとこんな経験は出来なかっただろう。


熱気に包まれたインドの祭り、ガンジス川の夕日を眺めてぼんやり日本、自分自身、そしてインドについて考えた時間。

自分で自分の機嫌の取り方が上手になる感じ。

上手くいかない異世界で、上手くいかないことを受け入れて生活する。量的には辛いことは多かったけど、質的には最高の経験をインドで見つけた気がします。